皆さんは南イタリアという地域にどのような印象を持っているでしょうか? 経済的に未発達・治安が悪いなどといったマイナスイメージを持たれている方もきっと多いと思います。実際に、北イタリアと比べれば経済力に乏しい地域が多いのは確かですが、そういったマイナスを覆すだけの文化的な魅力にも溢れています。南イタリアの代表的な都市にはナポリがあり、昔から「ナポリを見て死ね(=ナポリの美しさを死ぬまでに1度は見て
皆さんは南イタリアという地域にどのような印象を持っているでしょうか? 経済的に未発達・治安が悪いなどといったマイナスイメージを持たれている方もきっと多いと思います。実際に、北イタリアと比べれば経済力に乏しい地域が多いのは確かですが、そういったマイナスを覆すだけの文化的な魅力にも溢れています。南イタリアの代表的な都市にはナポリがあり、昔から「ナポリを見て死ね(=ナポリの美しさを死ぬまでに1度は見ておくべき)」という言葉があるほどに名高い観光地となっています。それでは、南イタリアの世界遺産を紹介するのに先立ちまして、南イタリアの代表都市ナポリについてご紹介したいと思います。
◎ナポリ/南イタリアの現況
海に面した熱気溢れる気候の街・陽気な人々が踊るように行き交う光景、こうした外国人が安易に想像するイタリアのイメージは、ほとんどが「ナポリに対するイメージが拡大解釈されたもの」といって差し支えないでしょう。ある意味で“もっともイタリアらしい都市”はこのナポリです。
ただ、人口の過密などといった問題を多く抱えているのも事実であり、最近では「ナポリを見て死ね」という言葉は「さっさと行かないとナポリが死んで(=観光地として機能しないような街に成り下がる)しまう」といったアイロニーで用いられることさえあるとのこと。やはり、ここにはイタリアが抱える南北格差が影響しているのでしょう。実際、北部から見れば南部が足を引っ張っているという感覚は強いらしく、一時期に躍進したイタリアの政党「北部同盟」などは、南部を切り捨てて北部だけで“パダーニア連邦”として独立する、という構想を打ち出したほどです。もちろん、さすがにこの構想は国民からも政府からも相手にされませんでしたが、過激な政治思想で知られる「北部同盟」は1996年、強引に「パダーニア連邦政府樹立宣言」を発するという暴挙にさえ出たのです。(もちろん国内からも国外からも完全に無視されました)現在の「北部同盟」は、イタリア全体が地方分権の連邦国家に移行することを目指していますが、それはもちろん「南部の面倒を見なくて済むようにしたい」という思惑によるものです。こういった点を鑑みれば、やはり「経済基盤としての地域の役割を南部が果たしているか」という側面から考えた場合には、問題視せざるを得ない部分が多くあるというのが事実なのでしょう。ちなみに前述の「北部同盟」ですが、2010年現在でも代議院(衆議院に相当)定数630に対して60議席・元老院(参議院に相当)定数322に対して26議席を有しており、ベルルスコーニ首相が首班を努める与党側の政党連合「自由の家」と協力関係にあります。これだけ過激な主張を持っており、国内外を騒がせる「パダーニア事件(前述の北部独立宣言)」を起こした政党が実質的な連立与党になっているあたりが、イタリアの先進国になりきれていない部分であり、同時にある種の魅力でもあるのかもしれません。
都市としてのナポリに視点を移しますと、観光地としての人気が高い一方で治安に対する不安が声高に叫ばれている印象があります。実際、ナポリは現在でも犯罪組織であるカモッラの影響が強く残っています。カモッラは都市型の犯罪組織であり、かつては売春の斡旋・麻薬売買などの組織的な犯罪を行っていました。現在は組織としての力・団結は大きく崩れてきていますが、今でも貧困層の子どもを犯罪者に仕立て上げたり、闇パンの製造販売を行うなどの動きが続いています。さらに、カモッラはナポリのゴミ収集業者を完全に掌握していることでも知られ、未だに数多くの資金源を確保しています。(2008年には、公的なゴミ処理施設の建設に反発してナポリ全域で収集業者がストライキ状態になるなどしており、現在でもカモッラがナポリのゴミ処理業者を牛耳っているようです)有名なシチリアマフィアのコーサ・ノストラなどに比べるとだいぶ小規模な組織ではありますが、やはりナポリの抱える暗い部分が現れているエピソードだといえるでしょう。
とはいえ、ナポリは街自体が「ナポリ歴史地区」として世界遺産に登録されており、圧倒的な文化的価値を有する街並として全世界に知られています。色々な意味で“イタリアらしさ”の強いナポリ。やはり死ぬ前に一度は見ておきたいものですね。
以上、南イタリアにまつわるお話でした。次のページからはイタリア南部の世界遺産を実際に見ていきましょう。
※当ページで使用している画像はwikipediaからの引用です。
wikipediaはコピーレフトという考え方を標榜しており、引用・再利用が自由です。
◎ナポリ/南イタリアの現況
海に面した熱気溢れる気候の街・陽気な人々が踊るように行き交う光景、こうした外国人が安易に想像するイタリアのイメージは、ほとんどが「ナポリに対するイメージが拡大解釈されたもの」といって差し支えないでしょう。ある意味で“もっともイタリアらしい都市”はこのナポリです。
ただ、人口の過密などといった問題を多く抱えているのも事実であり、最近では「ナポリを見て死ね」という言葉は「さっさと行かないとナポリが死んで(=観光地として機能しないような街に成り下がる)しまう」といったアイロニーで用いられることさえあるとのこと。やはり、ここにはイタリアが抱える南北格差が影響しているのでしょう。実際、北部から見れば南部が足を引っ張っているという感覚は強いらしく、一時期に躍進したイタリアの政党「北部同盟」などは、南部を切り捨てて北部だけで“パダーニア連邦”として独立する、という構想を打ち出したほどです。もちろん、さすがにこの構想は国民からも政府からも相手にされませんでしたが、過激な政治思想で知られる「北部同盟」は1996年、強引に「パダーニア連邦政府樹立宣言」を発するという暴挙にさえ出たのです。(もちろん国内からも国外からも完全に無視されました)現在の「北部同盟」は、イタリア全体が地方分権の連邦国家に移行することを目指していますが、それはもちろん「南部の面倒を見なくて済むようにしたい」という思惑によるものです。こういった点を鑑みれば、やはり「経済基盤としての地域の役割を南部が果たしているか」という側面から考えた場合には、問題視せざるを得ない部分が多くあるというのが事実なのでしょう。ちなみに前述の「北部同盟」ですが、2010年現在でも代議院(衆議院に相当)定数630に対して60議席・元老院(参議院に相当)定数322に対して26議席を有しており、ベルルスコーニ首相が首班を努める与党側の政党連合「自由の家」と協力関係にあります。これだけ過激な主張を持っており、国内外を騒がせる「パダーニア事件(前述の北部独立宣言)」を起こした政党が実質的な連立与党になっているあたりが、イタリアの先進国になりきれていない部分であり、同時にある種の魅力でもあるのかもしれません。
都市としてのナポリに視点を移しますと、観光地としての人気が高い一方で治安に対する不安が声高に叫ばれている印象があります。実際、ナポリは現在でも犯罪組織であるカモッラの影響が強く残っています。カモッラは都市型の犯罪組織であり、かつては売春の斡旋・麻薬売買などの組織的な犯罪を行っていました。現在は組織としての力・団結は大きく崩れてきていますが、今でも貧困層の子どもを犯罪者に仕立て上げたり、闇パンの製造販売を行うなどの動きが続いています。さらに、カモッラはナポリのゴミ収集業者を完全に掌握していることでも知られ、未だに数多くの資金源を確保しています。(2008年には、公的なゴミ処理施設の建設に反発してナポリ全域で収集業者がストライキ状態になるなどしており、現在でもカモッラがナポリのゴミ処理業者を牛耳っているようです)有名なシチリアマフィアのコーサ・ノストラなどに比べるとだいぶ小規模な組織ではありますが、やはりナポリの抱える暗い部分が現れているエピソードだといえるでしょう。
とはいえ、ナポリは街自体が「ナポリ歴史地区」として世界遺産に登録されており、圧倒的な文化的価値を有する街並として全世界に知られています。色々な意味で“イタリアらしさ”の強いナポリ。やはり死ぬ前に一度は見ておきたいものですね。
以上、南イタリアにまつわるお話でした。次のページからはイタリア南部の世界遺産を実際に見ていきましょう。
※当ページで使用している画像はwikipediaからの引用です。
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